「朝に思う」

 (初出し:2011/12/15「小説家になろう」に掲載)

 冬の布団からは、得てして抜け出せないものである。
 何故ならそれは、無防備な自分を守ってくれる、唯一の鎧だからだ。

 冬の寒さは、とても服だけでは防ぎきれない。
 温かな、母親の腕に抱かれているような感覚を放棄する気にはなれない。
 襲い来る睡魔に惑わされ、また目を閉じようとした時だった。
 「いつまで寝てるの!いい加減起きないと遅刻するわよ!」
 …こちらの母は温かくない。
 仕方なく温かな母に別れを告げ、食卓に向かう。
 しかし本音を言うと、一番温かいのは母の作った朝食の味噌汁だと、自分は思う。

 さて、今日も温まりに行こうか。




 story&photo by Masumi Suiren